発表会。
オーケストラ。
コンサート。
長時間のレッスン。
同じ時間演奏しているはずなのに、
終わったあと、ぐったり疲れてしまう人もいれば、
「まだ弾けそう。」と笑っている人もいます。
この違いは、
筋力でしょうか。
体力でしょうか。
年齢でしょうか。
もちろん、それらも多少は関係します。
でも、私はたくさんの演奏者を見てきて、もっと大きな違いがあることに気づきました。
それは、身体の使い方です。
疲れるのは頑張っている証拠
演奏中、疲れてしまう人ほど、一生懸命頑張っています。
音を外さないように。
きれいな姿勢でいよう。
楽器をしっかり支えよう。
その気持ちは、とても大切です。
でも、身体は頑張り続けるほど、少しずつ疲れていきます。
なぜなら、同じ場所が働き続けているからです。
一部分だけが働くと疲れやすい
例えば、重い荷物を片手だけで持ち続けると、
腕はすぐ疲れてしまいます。
でも、両手へ持ち替えたり、身体全体で支えることができれば、
同じ重さでも負担は小さくなります。
演奏も同じです。
身体の一部分だけが頑張る状態では、
肩。
首。
腕。
腰。
どこか一か所へ負担が集中します。
すると、演奏そのものより、身体を支えることにエネルギーを使ってしまいます。
その結果、演奏後には強い疲労感が残ります。
上手な人ほど「頑張り続けていない」
演奏が美しい人を見ると、たくさん動いているようには見えません。
でも、身体の中では、必要な場所が自然に役割を分け合っています。
だから、一か所だけが無理をしません。
力を抜いているのではなく、身体全体で支え合っているのです。
そのため、同じ演奏時間でも、疲れ方が大きく変わります。
疲れやすさは才能ではない
「私は体力がないから。」
「昔から疲れやすいから。」
そう思っている方も少なくありません。
でも、疲れやすさは、
生まれ持った才能だけで決まるものではありません。
身体の使い方が変わることで、演奏後の疲れ方が変わる方を、私は何人も見てきました。
だから私は、疲れやすい身体を責める必要はないと思っています。
大切なのは、
身体が頑張り続けなくても動ける状態を育てることです。
疲れない身体とは「頑張らない身体」ではない
「疲れない身体」と聞くと、何時間でも平気で動ける身体を想像する人がいるかもしれません。
でも、そうではありません。身体は動けば疲れます。
それは自然なことです。
私が考える疲れにくい身体とは、
必要以上に頑張り続けなくてもいい身体です。
演奏に必要な力だけを使い、不要な力は自然と手放せる。
その状態だからこそ、長時間演奏しても身体への負担が少なくなります。
演奏だけで疲れているわけではない
「バイオリンを弾くと肩が痛くなる。」
「本番のあと、腰が重くなる。」
こうした悩みを聞くことがあります。
でも、本当に疲れているのは演奏だけでしょうか。
私たちの身体は、朝起きてから夜眠るまで、
立つ。
歩く。
座る。
物を持つ。
たくさんの動きを繰り返しています。
その一つひとつで身体が頑張り続けていたら、
演奏が始まる頃には、すでに疲れをため込んでいることもあります。
だから、演奏だけを変えようとしても限界があります。
疲れにくい身体は、日常から育てていくものなのです。
「疲れにくさ」は演奏を長く楽しむ力になる
演奏者にとって大切なのは、
一曲だけ上手に弾けることではありません。
何年先も、
好きな音楽を楽しめること。
思いどおりに表現し続けられること。
そのためには、技術だけではなく、身体も育てていく必要があります。
疲れにくい身体になると、練習の質も変わります。
集中力が続きやすくなり、演奏そのものを楽しむ余裕も生まれてきます。
身体は何歳からも育てることができる
「もう大人だから。」
「昔から疲れやすいから。」
そんなふうに思う必要はありません。
身体は年齢に関係なく、使い方を少しずつ学び直していくことができます。
もちろん、長い年月で身についたクセは、一日では変わりません。
でも、身体は正直です。
少しずつ積み重ねていけば、頑張り方も、疲れ方も、少しずつ変わっていきます。
だから私は、演奏を続けるすべての人に、
身体を育てるという選択肢を知ってほしいと思っています。
演奏を支えるのは「技術」と「身体」の両方
技術は、演奏を表現するために欠かせません。
でも、その技術を支え続けるのは、毎日使っている身体です。
疲れにくい身体は、もっと頑張るための身体ではありません。
無理なく演奏を続けられる身体です。
だから私は、演奏技術を磨くことと同じくらい、身体を育てることも大切にしています。
それが、好きな音楽を長く楽しみ、自分らしい演奏を続けるための土台になると考えています。
疲れにくい身体は、特別な才能ではありません。
身体全体が自然につながることで、無理なく演奏を支えられるようになります。
では、その音は身体のどこから生まれているのでしょうか。
次回は、「音色は身体のどこから生まれるのか」について、身体教育の視点からお伝えします。
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長時間演奏しても疲れにくい身体は、一日で作られるものではありません。
演奏を支える身体について、さらに知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
「もっと力を抜いて」と言われても抜けない理由を、身体教育の視点から解説しています。
疲れにくい身体は、姿勢を作ることではなく、自然な動きから育まれます。
身体全体のつながりが、音色へどのようにつながっているのかをお伝えします。
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